日本酒には賞味期限がない?未開封・開封後それぞれのおいしく飲める期間・保存方法
「少し前に頂いた日本酒、ラベルに賞味期限の記載がないけどまだ飲めるかな?」
「開封したけど飲み切れなかった日本酒はいつまで飲めるの?」
「日本酒は賞味期限がないってほんと?」
日本酒の賞味期限について疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、みなさんが悩みがちな日本酒の賞味期限や保存方法について解説します。
目次
日本酒の賞味期限はどこを見ればわかる?
結論から言うと、日本酒には賞味期限はありません。
そのため、日本酒のラベルには賞味期限が記載されていません。
酒税法でも、賞味期限の記載義務がないことが明記されています。
なぜ賞味期限の記載義務がないのかというと、日本酒はアルコールの殺菌作用で腐食が進まず、長期間の保存が可能なためです。日本酒には、実質的な「賞味期限」が存在しないのです。
ただし、ラベルには日本酒の「製造年月」が表示されています。この製造年月をもとに、日本酒を美味しく飲める期間を判断しましょう。
※2023年からは製造年月の記載も任意となりました。
ただ流通に混乱が生じる恐れがあるため、引き続き製造年月や製造管理番号を記載する場合が多いようです。
10年以上持つ?日本酒の賞味期限がない理由
日本酒のラベルに賞味期限の記載義務がないのは、上記でも説明した通り、日本酒はアルコールの殺菌作用で腐食が進まず、長期間の保存が可能なためです。
腐らない日本酒は、例え製造から10年経過したとしても身体に害はありません。
ただし害がないとは言え、風味や味が落ちてしまうことは多々あります。ラベルに記載された製造年月や保管方法をもとに、「おいしいうちに飲み切ること」をオススメします。
日本酒を美味しく飲める時期の目安
しっかり管理されている酒蔵と違い、自宅保管した場合は、時間経過とともに日本酒本来の風味や味わいが変化してしまいます。
蔵人が精魂込めて造った日本酒ですから、美味しく飲める時期を逃さず味わいたいものです!
原則として開栓後は「2週間以内」を推奨
日本酒は開栓すると同時に酸化が進んでいきます。原則として、開封後2週間以内を目途に飲み切りましょう。
また、生酒と火入れした日本酒とでは保存方法も異なります。
生酒は冷蔵が必須です。生酒とは火入れをせずに、搾ったままの状態で瓶詰した日本酒のこと。酵素が生きて活動している状態なので、温度が上がると活動が盛んになって酒質が変化してしまいます。その反応を鈍くして味わいをできるだけ保つために、要冷蔵となっているのです。
ただし、家庭用冷蔵庫は頻繁に開け閉めされることに加え、部屋の外気で適性温度を保てません。ですから、「生酒はすぐに飲んでください!」とお伝えしています。
無ろ過生原酒も生酒と同様の扱いです。必ず冷蔵庫で保存し、開封したらなるべく早く飲み切ってください。無ろ過生原酒はろ過していないためオリが含まれており、変色などの品質変化が起きやすくなっています。
吟醸酒も非常にデリケートです。吟醸酒特有のいい香りは崩れやすく、常温で1週間経過すると本来の香りでなくなってしまうこともあります。購入したら冷蔵庫でしっかり冷やし、早めに飲み切るようにしてください。
発泡酒はその日のうちに飲み切る!
スパークリングタイプの日本酒は、開封したらすぐに飲み切りましょう。これは他の発泡酒(ビール等)や炭酸の飲み
物と同じです。
ガスが抜けてもお酒には変わりありませんが、ガスありきで調整した風味です。ガスが抜けてしまった発泡酒は、蔵人が意図した風味や味とは全く別物。ぜひ美味しいうちに飲み切ってください。
日本酒を美味しく飲み続けるための保存方法
日本酒は温度や光、酸素の活動で酒質が変わってしまうデリケートな商品です。美味しく飲むためには適した方法で保存する必要があります。
未開封(開栓前)の日本酒の保存方法
日本酒を購入したら、まずラベルを確認しましょう。
「要冷蔵」と記載されていれば、冷蔵庫で保存します。
何も記載されていなければ、温度変化の少ない冷暗所で保存するのがおすすめです。自宅で一番涼しくて室温が安定している場所で、直射日光が当たらずできるだけ暗い場所を選ぶようにしてください。
「どこで買うか」も重要!しっかり管理された日本酒をご購入ください。
地酒専門店では特に室温管理にこだわっており、品質の良い日本酒を購入することができます。
しっかりと管理された日本酒こそが、蔵が届けたい本当の日本酒の味。美味しい日本酒を楽しむためには、できるだけ専門店での購入がオススメです。
開封後(開栓後)の日本酒の保存方法
開封後の日本酒は冷蔵保存がマスト!
なるべく温度変化が少ないほうがいいので、開け閉めの少ないところに保存するのがおすすめです。
また日本酒は空気に触れることで酸化が始まり、風味が変化します。しっかり栓をして、冷蔵庫では縦置きにしましょう。
あえて寝かせて「熟成」させる楽しみも
新酒はフレッシュな香りや独特の爽快感、少し尖った荒々しさが特徴です。
そのときにしか味わえない新酒の青さが楽しめます。
しかし冷蔵庫の容量に余裕があれば、新酒を少し寝かせて味が乗ってくるのを待ってみるのもオススメです。ただし寝かせる日本酒は、開封前のものを選んでください。
新酒は寝かせることで角がとれて全体の味が馴染み、甘みが増してきます。興味がある方は、まずは1ヶ月を目途に熟成させてみてはいかがでしょうか?
古い日本酒・味が落ちた日本酒の見分け方
賞味期限の記載義務がない日本酒ですが、製造年月以外で劣化を見分ける方法はあるのでしょうか。
色、匂い、味の3項目に分けて解説します。
色
日本酒を長期間保存していると、透明なお酒が黄色や茶色に変色していることがあります。
これは糖とアミノ酸が起こすメイラード反応という化学反応によるものです。温度が高い場所や光が当たる場所に置いておくと、反応が促進される場合があります。
変色した日本酒は飲んでも問題ありませんが、風味は落ちていると言えるでしょう。
強い異臭がする場合などは飲酒をお控えください。
匂い
古い日本酒は老香(ひねか)と言って、紹興酒やたくあんに似た匂いがします。
老香は日本酒が劣化している証拠で、製造年月から3~4ヶ月経過した日本酒になると、老香がきている可能性が高いです。
老香はイタリア人には好まれる傾向があり、一概に嫌な匂いとも言い切れません。
個人の感覚によるところもあるので、老香を楽しめるのであれば、飲んでも健康上は問題ありません。
味
古い日本酒を飲んで体調を崩すということはあまり考えられません。
飲めるかどうか判断に迷う場合は一口飲んでみましょう。
劣化が進むと酸味が強まるなどの変化がみられますが、それも含めて美味しいと思えるなら、そのまま飲んでも構いません。
味や風味が変化してしまい、美味しさを感じられなくなった日本酒は、次の活用方法を参考にしてみてください。
古くなった日本酒の活用方法
料理酒として
風味や香りが落ちてしまった日本酒は、料理酒に使用するのがおすすめです。
料理酒は食材の臭みを消したり、柔らかくしたり、旨味やコクを添えたりといった用途で使用します。
古くなった日本酒も、通常の料理酒と同じように使うだけです。肉料理にも魚料理にも使え、炒め物や煮物がさらに美味しくなりますよ。
梅を漬けてみる
一般的に自家製の梅酒作りに使われるのは、ホワイトリカーと呼ばれる甲類焼酎です。
しかし、日本酒でも梅酒が作れるので、古くなった日本酒の活用方法に迷ったら梅酒を作ってみるのもおすすめです。
ただし、アルコール度数が20度未満の種類で梅酒を作ると酒税法に違反してしまうので注意が必要。
日本酒はアルコール度数が22度未満のものと定められており、15度前後の商品が多くなっています。梅酒作りは、原酒のように高アルコール度数の日本酒が古くなった場合のみ、選択肢のひとつとなるでしょう。
日本酒で作った梅酒は、一般的なアルコール度数が35度前後のホワイトリカーに比べてやさしくまろやかな風味になり、日本酒に含まれる糖分を活かして氷砂糖の量を減らすことができるのが特徴です。
日本酒風呂に
入浴剤のように、コップ1~2杯の日本酒を浴槽に加えてみましょう。日本酒には血流を促進する働きのあるアデノシンという成分が豊富に含まれているため、身体が芯から温まります。
また、酒造りをする杜氏の手が美しいとして、日本酒入りの化粧品が販売されていることはご存じでしょうか。特に純米酒にはアミノ酸が豊富に含まれており、美肌効果が期待できます。
日本酒の香りが保たれている場合は、湯気とともにバスルームにいい香りが充満し、リラックス効果も期待できるでしょう。